どきどきわくわくの予感 FOLKFOLK GARDEN

今春リニューアルしたFOLKFOLKのガーデン。
人々が集う空間の秘密は、温かさと遊び心。
ガーデンのこれまでと現在、これからについて存分に、代表の迪也さんの想いと共に語ってもらいました。

───ガーデンのこれまで
ウェディング×ガーデンの可能性

2017年。今から7年前。
現在のガーデンはこのとき、手入れのされていない600坪の空き地でした。
何もなく勿体ないこの空間を、ガーデンウェディングができる空間にしよう。そう考えた迪也さん。
「ウェディングも多様性の時代が来る」そんな確信がありました。
そうして、まず芝生を張ろうというテーマでガーデンづくりが始まりました。

2020年。第1回目のクラウドファンディング。
迪也さんの思いに応えてくれたたくさんの方々から、温かいお金が集まりました。
支援者の多くはFOLKFOLKで出会った元新郎新婦や近所の方たちです。

ガーデンウェディングは勿論、
砂利から芝生にしたことで、子どもたちが遊べる。
地域のイベントや、マルシェもできる。
大きな効果が生まれていきます。

しかし、課題はまだありました。

共有地としてのガーデン

 

使うのは土日のイベントや結婚式のときだけで、いつもは閉まっているガーデン。
そんな状態から、ずっと開放できるガーデンにして、
もっともっと色んなことに使ってほしい。
“占有していたガーデンを共有地にする”という次なる試みのはじまりです。

こうして2度目のクラウドファンディングを経て、
2024年春に現在のガーデンが誕生しました。
ガーデンの“これまで”はこのような感じです。

 

そして、“現在”と“これから”は迪也さんの生の言葉をできるだけそのままお届けします。

 

 

───ガーデンの現在
“ないからつくる”、“必要だからつくる”

 

ストリートバスケットのコート、ドッグラン。
このガーデンには、伊勢の人々にとって新鮮な景色があります。

「ストリートバスケのコートって伊勢に全然ない。のに、バスケOBとその子ども達の人口は多い。だからあったほうがいいよねってことで、ないからつくった。ドッグランは、結婚式でペットと入場したいって方多いんよね。俺、カフェにもワンちゃん連れて来てもいいようにしたいなとかも思ってるから、そういう意味でも絶対活躍すると思った。だから、周りは知らんけど、うちにとっては必要な機能やなと思ってドッグランはつくりました。」

 

理由は違えど、ないからつくる、必要だからつくる。
シンプルだけど、なんとなくではない思いがそこにはありました。
実はこのバスケットコートは迪也さんのお気に入りの場所。ハーフコートにしたのにも理由が。

 

「オールコートでゴールが2個あったら、別のグループがそれぞれやり始めちゃうやん? でもゴールが1個やったら、取り合いになるか一緒にやるかどっちか。そこで、一緒にゲームしようぜとか、順番に打とうねとかがコミュニティとしては必要で。ゴールの高さも変えられるから、子どもたちが来たらじゃあ低くしようとか。これもコミュニケーションやん。それがこのハーフコートで生まれてるのがアツいよね。俺はここの感じ好き。」

あったかさの秘訣

 

クラウドファンディングのページからも、あったかさを感じる。
あったかい人、あったかい空間が生まれる理由は。

 

「あったかさって何って色んな言い方ができると思うんやけど、人と人が動いて作る空間・ものづくりはあったかいなって感じがするんですよ。機械で大量生産するよりは、小さくてもいいからみんなで協力してつくるものの方があったかい感じがしていて。その考え方はお金でも同じで、おんなじ金額でも、集め方とか説得の仕方でお金自体があったかいか冷たいかが決まるなって思っていて。
クラウドファンディングやってる理由はそこ。正直、銀行から借りることもできるけど、それって数字の関係性になっちゃって、面白くないし冷たいなって。けど、こっちの熱量を伝えて、コールアンドレスポンスで返ってくるお金っていうのはあったかい感じがする。良き理解者やから。そういうのを増やすためにクラウドファンディングを使ってる。

実はクラウドファンディングって「あったかい人何人おるかな?」って健康診断っていうか、通知表みたいなもんで。俺らはFOLKFOLKを7年やってきたけど、どれぐらいの皆さんに囲まれているんだろうかっていうのがわかる瞬間なんよな。今回も230万円分の温かいお金が集まったっていうのは、俺らが7年やってきた実績が評価されたのかなって思いますね。」

 

良い予感の秘密

 

ワクワク感と課題解決の力。
その二つの要素をバランスよく盛り込む、プロジェクト作りのポイントも伺いました。

「小中学生達ってさ、口癖のように「いいこと思いついた!」って言う子、いっぱいおるやん? 俺らみたいないい大人も「こうなったらいいのにな」みたいなの思いつく。それを世の中ではアイディアって呼んでる。

でも、俺のアイディアの概念は人と違うんよね。一般的には種だけのことをアイディアって言ってる。けど、俺は「アイディア思いついた」って言うのを避けてて、軽はずみには言わないんよ。

俺が「アイディア閃いた」って言う時は、
①種があって
②さらにお金どうするか
③花咲かす仲間どんな感じか
④いつ咲くか
この4つがセットになってる状態。

この4つ揃ってるから早いし、説得力あるし、できそうな感じがする。いい予感がする。種ばっか言ってると「できるんそれ?」ってなっちゃうから。クラファンではそういうことを心掛けたページ作りをしましたね。」

 

種だけでは終わらない。アイディアの創造。
できそうと思わせる力。

 

「種だけじゃなくて育て方、取扱説明書までワンセットやから、いけるんじゃないって感じがするんよね。後は自分で育てるだけやし、自分じゃなくてもいい場合があるよね。それと渡し方とかも考えてるかな。」

遊び心の源はユーモアとユニーク。そして愉快。

けんけんぱを上から見るとFOLKFOLKの文字になっていることを教えてもらいびっくり。
所々に散りばめられた遊び心の秘密は?

 

「普通、公園作るってさ、ジャングルジム置いて、ブランコ置いてって遊具さえ揃えれば簡単にできるやんか。けど俺らウェディングやるから、あんまり子ども向けの公園になっても見栄えが良くない。“遊具が置けない”って縛りがあって、これが今回いい感じに自分を追い込む課題になって。
今回は立体じゃなく、平面でいかに子ども達を楽しませるかがテーマやった。そんで、これ高校の友達に書いてもらっとるんやけど、二人で話してたら、けんけんぱとか迷路とかいけるやんってなって。数字書いてあったら、人って飛ぶよなとか。そしたら、まんまと全員罠にハマってる(笑)」

「っていうのも、昔から仕事において大事にしてることがあって、“ユーモア”と“ユニーク”なんさ。ユーモアとユニークないと仕事しとってもおもんないやん。あと俺の好きな言葉、“愉快”やよね。この3つは仕事において絶対に忘れてないなって感じ。あのテントも珍しい形でユニークやなとか、けんけんぱが字になってるなんてユーモアあるなとか言われると嬉しい。お洒落って言われるのあんま好きじゃなくて。今度から、ユーモアがあっていい、とかユニークですねって褒めて!」

 

 

ここに集う人

「昼間はママと子ども達が親子で来るんさ。夕方になると放課後、中学生が来始める。みんなのライフスタイルによってさ、公園に来れる時間帯って違うやん。それがいい感じに回ってるのは嬉しいね。後は、新郎新婦が結婚式をしに来てくれる。それはイメージ通りやった。つくってみてよかったなって思うのは、20代、30代の社会人がチャレンジしに来てくれること。社会人とか会社同士のコラボが生まれてて、思った以上の効果を感じてますね。」

 

 

───ガーデンのこれから
ガーデンは未完。もっと進化する。

「結婚式の事業してて、ずっと解決できなかったことがあるんさ。それがフードロス。披露宴って、幅広い年代の方が来るし、フルコース食べ切れへんことも多いの。その残ったやつをコンポスト導入して堆肥化したいなってずっと思ってたん。で、その土を使って菜園コーナー作るんさ。んで、野菜育てんのよ。その野菜をもっかい結婚式で使うっていう循環が生まれるといいなと思っていて。
それができたら、次は伊勢の色んな飲食店とかレストランとかに話をしに行って、伊勢中のフードロスを減らす。それでできた堆肥を農家さんにもう一回分配してもいいしさ。ってなると、うちだけじゃなくって町中にメリットが生まれるやん。そういうことに挑戦したい。
今座ってるベンチも鈴鹿にある企業のもので、車のバンパーとかをアップサイクルしてできてんの。こういう大人の知恵をいっぱい集められるような場所にしたいなと思っていて。第一弾、第二弾ってきたら絶対続いてくやん。俺はディレクターとかプロデューサーの立ち位置で、居場所をつくったり、誰かを繋いだりするのが自分の担ってる役割かなと思ってる。」

人も企業も数珠つなぎにしていく迪也さん。
コミュニティ形成も今回の狙いの一つ。

 

「もし自転車乗り回してて暴れてる奴がいても「おいおい」って言える。これってコミュニケーションやと思うんさ。いまの社会なかなかそういう関係性がない。慣れてないと、注意したいけど言えない、怖いとか喋れない人が増えてくと思うから。俺はそれ嫌やなって思ってて。ちゃんと叱って、叱られて、モラルを持った人間をここで育てたい。」

 

 

おわりに

今回、初めての一対一での取材。緊張気味な私に向かって迪也さんは、
「大丈夫。俺1聞いたら100話す人やから!」という言葉で始まり、「いつか東山迪也の解体新書、書いてよ。」で終わりました。

東山迪也という人物。
奥が深く、底が見えず、掴めないので、いつまでたっても解体新書なんて書けそうにないな
と思ったのはここだけの秘密。

絶賛就職活動に悩み中の”私”。
どんな大人になるのか、なれるのか。
今はドキドキと不安の間で迷いながらですが、
進化を忘れず温かさを大切に。
遊び心のスパイスを。
私にもそんな仕事ができればいいな、と。
ガーデンと同じく可能性は無限大と信じて。

Michiya Higashiyama