大紀町で真っ直ぐな思いでローチョコレートを作る、HARUKAさん

 

今回紹介する人は、imalivechocolate(イマリブチョコレート) のchocolatier HARUKAさん (以下HARUKAさん)。

imalivechocolateはHARUKAさんお1人でされているraw craft chocolate 専門店。

※raw craft chocolate とは、生のカカオを仕入れ、非加熱(48℃以下)で丁寧に手作業で仕上げられたチョコレートのこと。

本来カカオには豊富な栄養が含まれているという。ビタミン、鉄・マグネシウムなどのミネラル、抗酸化ポリフェノール、テオブロミンなどが含まれ、スーパーフードとも呼ばれている。

しかし、市販のチョコレートは高温で調理されるため、多くの栄養素が失われている。さらに添加物が加えられ健康的な食べ物という印象は少ないかもしれない。

48℃以下で乾燥されたカカオ豆


imalivechocolateのチョコレートは、豊富な栄養が含まれ、さらに添加物不使用。また、乳製品や小麦を使用していないので、ヴィーガンやベジタリアンの方でも安心して食べることができる。

甘いものをあまり食べない僕でも、手が止まらない、不思議と食べるのが楽しみになるチョコレートだ。

今回は、少し伊勢を離れ、伊勢を流れる清流、宮川。
その上流付近に位置する大紀町の工房へお話を聞きに行ってきた。

担当はヤギュウ ショウです。







キャリアの始まり

「大学卒業後、地元の大紀町に帰り、家業の仕事をしていました。またそれと同時に菜食を始めました。深い理由はなく、肉や魚がそんなに好きじゃなく、なんとなく菜食を始めると体にあってると実感したからです。」

会社員時代は、ヨーロッパ諸国などの海外旅行や東京へ遊びに行くことが多く、仕事は定時で帰り、焼き菓子を作ったり、映画を観たりと生活を満喫していたそう。

raw chocolateとの出会い

2011年、気分転換に初めてカナダへ訪れ、raw chocolateと出会った。

これが大きな転機になった。

「もうそこからは夢中になって、三重から東京のチョコレートのワークショップへ参加し、基本を教えてもらいました。しかし、raw chocolateはまだ日本に全然普及していなかった時代だったので、そこからは試行錯誤を繰り返していろいろ学んで作ってました。」

最初は友達に配る程度だったが、Facebookで多くのメッセージをもらいオンラインショップを立ち上げることに。自宅では難しい規模になったタイミングで、家業で使っていない建物を改装し工房を作り、imalivechocolateというブランドが立ち上がった。



HARUKAさんの1日

HARUKAさんの朝は7:00から始まる。
配送準備や掃除など行い、8:00からチョコレート作りが始まり、1人黙々と仕事を行う。
食べるとリラックスし過ぎてしまうからという理由で、お昼ご飯も食べないそうだ。
23:00には仕事を終え、また翌日同じ生活。
バレンタインを控える、1月は4:00-24:00の間、ずっと作っているそうだ。

皮を剥いたカカオを練り潰す作業(コンチング)

48℃が超えないように、細かく温度管理されている

テンパリングを終え、型に流されている様子

トッピングの作業が一番楽しいそうだ


HARUKAさんに息抜きはない。しかし仕事をしている感覚もない。チョコレート作りがHARUKAさんの全て。休みの日でもレシピ開発やカカオの皮むきをするほど、チョコレートと離れることはない。

HARUKAさんが作る美しいraw chocolateの裏には、愛が詰まっている。

カカオの皮むきしている様子



それでも大紀町にいる理由

最近では東京などの都市部での知名度が上がり、伊勢丹などでの出店が増えた。昨年工房を移転し、実家の近くへ。移動時間がなくなり、より一層チョコレートにのめり込んだ生活になった。
それでも大紀町に工房を構える理由を聞いてみた。

「情報過多な今の時代、SNSをひらけば無限の論争に溢れています。そんな情報ばかり見ていると自分がブレてしまう。それは現実世界の都会でも同じ。だから田舎という情報が少ない場所で自分を強く持っていきたい。それが私の幸せです。」

伊勢の中心部から車で40分の大紀町という場所。
山も海も川もある温暖な場所で、人口も9000人という小さな町だ。
そこにはHARUKAさんがのびのびとチョコレート作りに取り組める空気が流れている。

HARUKAさんの強さ

一見小柄で、優しそうな雰囲気があるが、話しているとチョコレートも溶けてしまいそうな熱量と強さを感じる。

「レシピのインプットは何もないです。自分を信じ、全て1からレシピをを考えます。」

ここまで試行錯誤を繰り返してここまで進んできたHARUKAさん。伊勢丹出店などには有名製菓学校卒の人など順当なお菓子の道を歩んできた人ばかり。時には自信をなくすこともあった。

しかし、今のHARUKAさんは違う。

「どれだけチョコレート作りにいつも真摯に向き合えるかだと思います。食べていただく方に良質な美味しさを少しでもお届けしたいと思っています。」

これが今のHARUKAさんの強さの根幹であり、その強さを形にしているのがimalivechocolateである。

見た目も味も、強さと優しさを感じる。
一つ一つ真っ直ぐな思いが詰まったチョコレート。
ぜひお楽しみください。




注:店舗はありませんので、オンラインショップや取扱店、イベント出店でお求めください。詳細は下記のURLにて。


imalivechocolate

HP(オンラインショップ): https://www.imalivechocolate.com/
instagram:https://www.instagram.com/imalivechocolate/

Blog(イベント出展情報など):https://imalivechoco.blogspot.com/








書き手・写真

 

ヤギュウ ショウ

 
 
Michiya Higashiyama