三重県伊勢市にあるプリントスタジオ、「MOLE FACTORY」。シルクスクリーンやリソグラフを使用し、オリジナルグッズ等の作成を行う文化発生の場。

お店に入り、最初に見えるのが階段とオリジナルグッズたち。階段をあがるとカラフルな制作物と大きなシルクスクリーンの機械がどーんと目に入る。

全ての工程が一つの場所でできたら面白いなと思ってつくられたこの場所。伊勢で唯一のリソグラフ印刷が出来たり、「いろんな人に使ってもらいたい」という思いから土日にはシルクスクリーンのワークショップを行い、伊勢でモノづくりの交流が生まれている。

店主（通称たかにい）のやっていることはどちらかというとモノづくりの手助け。何かを作りたい人の想いを聞いてそれを一緒に形にしていくことみたい。

今回はこのMOLE FACTORYのはじまりや、プリントスタジオとしてお店を構える想いなどをたかにいからお話を聞きました。担当はカナです。

たかにいのモノづくりのはじまりは？

「シルクスクリーンを始めたのが20代前半。Tシャツくんというキットを最初に使ったけど、小さくて、あまりやりたいことができない仕様で。それで手作りで木枠を作ってシルクスクリーン自主制作したけど、失敗もたくさんした。だけど、作っていくうちに仕組みも理解していき、自分で作れるようになっていったんだよね。」

※シルクスクリーンは孔版印刷の１つ。メッシュ状の版に孔(あな)を作り、孔の部分にだけインクを落として印刷するとてもシンプルな印刷方法

趣味で制作を続けていたが、友人から依頼を受けるようになり、仕事をしながらグッズを制作する日々を送るように。

その後、2017年に自身の工房を持ち、本格的に制作活動に打ち込み、2021年に今の実店舗を構える。

ところでリソグラフってなんですか？

「リソグラフはもともとスーパーの広告や学校のお知らせを低価格に抑えて印刷するのに使われていた印刷技術。でも海外ではリソグラフの色ムラとかズレやカスレが面白いとされ、アートとして発展していったんだよね。それを逆輸入したから、日本はリソグラフに関して遅れていて、こういった場所も少ない。アメリカやフランスはリソスタジオが多くて、自分も結構刺激を受けている。」

伊勢にリソグラフを置く店はMOLE FACTORYの1店舗のみ。リソグラフを使ってZINEを制作するお店やアーティストがMOLE FACTORYを出入りしている。

県外のイベントにも出店をするMOLE FACTORY。プリントスタジオのイベント出店とは？

「イベント出店はシルクスクリーンとお店に置いてあるグッズで全国行商をしているような感じ。イベントに持っていくのはだいたいシルクスクリーンと自分のところで制作したZINE。ZINEの販売は自分が住んでいる街の面白い人紹介になる。それでその場で出会った人たちを次は伊勢に呼んだら、また新しいモノや何かが生まれるんじゃないかな。こういう風に、場所、モノ、人が広がると単純に楽しいしね。」