美味しいの実験室、NOPPO local food laboratory

今回、紹介するのは、NOPPO local food laboratory。

以前もPILOTの取材を受けてくださったNOPPO。
そんなNOPPOが移転オープンしました。
場所は、うらのはし商店街の端。たかやなぎ商店街の入り口も見える位置にあるSANDBOXビルの2階です。

ビル内へ入ると明るく柔らかい内装が広がります。

この特徴的なドアのハンドルが目印。
新しくなったNOPPOが見えています。
以前のカウンターに加え、テーブル席ができ、広々としつつも落ち着いた店内です。

素敵なお料理を作られているのは、中世古裕樹さん(以下、中世古さん)。
今回は中世古さんに移転のお話や、移転後のお店のお話を伺いました。

駅前からうらのはし商店街へ

「最初は駅前の以前の店舗の契約が切れるタイミングで、次の物件を探していました。色々な物件を見るも、しっくり来ずで……。
そこでたまたまお客さんだった、SAND BOXのオーナーに声をかけてもらい、実際現場を見させてもらいました。」

SAND BOXは2023年11月にオープンした複合施設。
全ての人が夢を形に出来る場所を目指す施設であり、中にはコワーキングスペースや会議室など、様々な人の活動の幅が広がりそうな設備が揃っています。

実際に現場を見に行くと、まっさらな何もない空間だったそう。「何もないこの空間に、NOPPOをまた作り上げていく想像したとき、しっくりきました。これまでのお店よりも数倍大きい場所でしたが、これを逃したら後悔すると思い、覚悟を決めました。」

移転してレストランに

移転を経て席数は10席から30席に。
移転前からは大きくお店の中の様子が変わりましたが、今の形態に中世古さんは憧れを抱いていたそう。
「前のお店もすごく居心地は良かったけど、今のレストランって形は、僕が料理人を始めたときの憧れで。」
「移転後にも、前と同じような形態の店を作るかは迷ったけど、レストランへの憧れを捨てきれない自分がいて。」

席数が3倍に増えたことで、仕事をしている感じは移転前より増えたそうですが、増えたものはそれだけではないようです。

「席数が増えてめちゃくちゃ大変やけど、3倍嬉しい部分もある。喜んでもらえる数も3倍増えました。」

移転前のカウンター席の時と比べるとお客さんと中世古さんの距離は離れてしまったため、「寂しい」という声もあるそうですが、テーブル席が出来たことで、移転前にも来てくれていたお客さんが家族や仲間を連れてきてくれることもあるそうです。

「「寂しい」って言ってくれるお客さんには申し訳ないけど、僕は自分から見てお客さんが座ってワイワイしとる景色を見るのがすごく嬉しい。」
「今は来た人と楽しい時間を共有できる場所でありたい。そんな空間を今は作りたい。それがこの店のコンセプトっていうか、テーマかな。」

カウンターは前のお店から持ってきたもの。

移転に際し、心機一転。キリンのキャラクターも新しいデザインにされたそう。中世古さんやお店の方が身につけるTシャツにもプリントされていてとってもキュートです。

2種類のコースター

中世古さんの人生

お店に入るとき、出るときに使うこのドア。
ドアのハンドルはとっても特徴的な形をしていますが、
なんと中世古さんの人生が模してあるそうです。

「(作ってくれた方に)これは僕の人生やって言われた。」
「確かに!って思って。回り道もたくさんするけど芯はあるっていう。」

まっすぐ伸びていたり、戻ったり。少し違う方向に伸びたりもしていますが、芯があることを表すように1本の材料からなっています。

さらに、中世古さんの人柄が表れている部分は店内のインテリアにも。

テーブルに注目すると、全て違うテーブルが使用されています。
中世古さんの飽き性な部分が関係しているそうです。

「僕飽き性なんさ。全部同じやと多分飽きてくると思って……。
けど、1個ずつ机が違えば、位置変えるだけで全部雰囲気変わると思うし。何パターンか楽しめるなって。」

「インテリアに関しては嫁さんが選んでくれたんやけど、「全部バラバラがいい」っていう趣旨だけ伝えたかな。統一感があるとなんか、自分っぽくないなっていうのがあって。」


先を見据えて。

移転を経て新たなスタートをきったNOPPO。
しかし中世古さんにとっては今のNOPPOが完成形ではないそう。

「今は今の店で気に入っとるし、けど出来たばかりでこんな話をするのもあれやけど、もう次のビジョンを見るためにここの場所を作ったって感じ。」
「やっぱりいっぱい料理できるっていうのは自分の中ではテンション上がることやから今は今で楽しい。だから次のことを考えとるというよりかは、ここを経験した上で次のことが見えてくると思っとるって感じかな。」

また、中世古さんは自身の成長についても大きな目標があるそう。

「誰かに任せることもしたい。自分1人で全部出来るなら小さい店でいいけど、店を大きくしたら誰かに任せやなあかん部分もあるし、そういうところがまだ苦手だから。シェフっていう立ち位置が苦手なわけよ。人に頼ることを出来るようになったら、もう少し見えてくるものも違うんやろなって思っとる。」

「したいことはいっぱいあるし、出来る出来へんはやっぱりあると思うけど、出来ることを見つけて、動いていくってことは大事やと思う、現状で満足しとったらそこでゴールやと思うし。限界は多分自分で作るものじゃないんかなって。立ち止まったら終わりなんやろなって思う。」



飽き性は良い武器

飽き性という中世古さんの性格がメニューやインテリアなどに大きく表れているNOPPO。
飽き性は武器になる、と中世古さんは語ります。

「さっきも言ったけど僕飽き性なんさ。飽き性を武器にしとる部分がすごくある。飽き性は悪いことじゃないんやって思う。変化をするってことやし、切り替えを上手にしてそれに対応出来れば良いことやと思う。」

「飽き性を待っとる人もいずれ生まれると思うし。僕の料理で、「今週はこれをやります」「飽きたんで違う料理作ります」ってなってくると、むしろ早く飽きを待つ人も出てくると思う。」

お話をしていただいたあと、中世古さんがお料理を作ってくださいました。
中世古さんがお料理をする姿は、楽しみながら実験をしているようでその手を見つめる私までわくわくが止まりませんでした…!

私がいただいた素敵なお料理を紹介します。

こちらは伊勢鶏のハムとミョウガ、シソのマイクロリーフに黒七味と胡麻ダレを合わせた前菜。
胡麻ダレのまろやかなコクがありつつも、シソとミョウガのさっぱりさでぺろりと食べてしまいます…!
伊勢鶏のハムもとってもジューシーです。

そしてこちらは、ホタルイカ、筍、フルーツトマト、さらに七味を使ったパスタ。
なんと即興で作ってくださいました。

ホタルイカや筍が贅沢にごろごろと入っていて、食べる前から心が躍ります。
海鮮の旨味と七味のピリ辛さがたまらない、お酒にもぴったりなお味。
一口食べると、幸福感でいっぱいに。食べ終わるのが惜しい、けど食べる手が進む…!

あっという間に完食してしまいました。
心もおなかも満たされます、まさにご褒美。

※メニューはそのときどきで変わりますので、お楽しみに!

今回は移転を経て、中世古さんが感じること、中世古さんがお店に対し考えていることを中心にお話を伺いました。
NOPPOのお料理はもちろん、そんなお料理を作る中世古さんの爽やかで明るい人柄もとっても魅力的。

私も、中世古さんの作る美味しい料理を家族や友達に共有し、みんなで美味しい料理を楽しむ、いわばご褒美のような時間をNOPPOで過ごしたくなりました。

皆さんも是非、進化したNOPPO Local food Laboratory にて家族や仲間とその時々で変化する料理を、料理とともに過ごすひとときを、楽しんでみてくださいね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

NOPPO local food laboratory
営業時間 11:30~14:30 (14:00 L.O.) 17:00~22:00 (21:30 L.O.)
定休日 水曜日、その他月1~2回不定休あり
住所 伊勢市宮町1丁目3-10 SANDBOX 2階
電話番号 0596-63-5815

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Michiya Higashiyama